シブラバ 渋谷で働く、遊ぶ、暮らす魅力を探る

渋谷文化プロジェクト

#シブラバ倶楽部 Vol.1
〜渋谷における「イノベーション×カルチャー」を語るミートアップ〜開催

2026.10.13

2026年8月20日、渋谷ヒカリエ 8/COURTで「#シブラバ倶楽部」のミートアップが開催されました。再開発が進み、大きく姿を変え続ける渋谷。便利で洗練された街へと進化する一方で、かつての「カオスで面白い渋谷」を懐かしむ声も聞こえてきます。渋谷を舞台に活動してきた3人のキーパーソンは、これからの街に何を残し、何を生み出そうとしているのか。「イノベーション×カルチャー」をテーマに、渋谷の未来を考えます。

開催情報 information

渋谷における「イノベーション×カルチャー」を語るミートアップ

日時/2026年8月20日(木)19:00~22:00(開場18:30)
会場/渋谷ヒカリエ 8/COURT
料金/無料
主催/東急株式会社
企画・制作/Potage株式会社

「#シブラバ倶楽部」とは?

「渋谷を“愛する人”たちと、渋谷を“もっとおもしろく”」を合言葉に、渋谷で遊び、働き、暮らす人々をつなぐプロジェクトです。2023年にスタートしたミートアッププロジェクト「#シブラバ」を発展させ、渋谷に関わる多様な人々が出会い、語り合い、新たなつながりや具体的なアクションを生み出す場として再始動しました。企業や行政、地域のプレイヤーなど、立場を超えて渋谷への思いを共有しながら、「みんなでつくる渋谷」の新たな魅力や可能性を育んでいきます。

登壇者

  • 小田嶋 Alex 太輔さん

    EDGEof
    INNVOATION CEO

    小田嶋 Alex 太輔さん

    事前インタビュー
  • 坂口元邦さん

    株式会社thePIXEL代表/シブヤピクセルアート実行委員会代表

    坂口元邦さん

    事前インタビュー
  • 則武里恵さん

    100BANCH オーガナイザー/一般社団法人百番地 代表理事/パナソニックホールディングス株式会社 技術部門 事業開発室

    則武里恵さん

    事前インタビュー

いろいろな人の活動が混在するカオスさこそが渋谷の魅力

藤田本日登壇いただく3名のキーパーソンは、なんと皆さん、渋谷で活動を始めたのが2017年。早いもので、来年で10年になりますね。今日は、これまでの活動や、これからの渋谷について、いろいろなお話をうかがっていきたいと思います。

河原最初のお題は、「ハードル低く、渋谷にもっと関わる方法」です。渋谷って、買い物だけしてそのまま帰ったり、仕事でビルから出てこなかったり、意外と「通過するだけ」の人も多い街ですよね。そんな環境のなかで、ハードル低く渋谷に関わるには、どんな方法があると思いますか?

則武「ベンチに座る」です! 100BANCHのある渋谷ストリームのあたりには、渋谷川沿いにベンチがたくさんあるんです。そこに座っていると、いろんな人の、いろんな活動が目に入ってくる。ゴルフクラブで素振りをしていたり、道端に座り込んでいたり(笑)。そんなカオスさが渋谷ならではで、楽しいんですよね。他のビジネス街では、なかなか見られない光景だと思います。

河原たしかに、街中で素振りはなかなかできないですね(笑)。

「シブヤピクセルアート」を立ち上げ、「ドット絵」の価値や可能性を追求し続ける坂口さん(中央)

坂口私は「ラジオ体操」ですね。渋谷キャストの前で、一人でずっと太極拳をされていた方がいたんですが、そこにちょっとずつ人が増えていったんです。そうやって同じ目的で人が集まると、そこから会話が始まることもある。特に、みんなで体を動かす活動は、参加するハードルが低いんじゃないかと思います。

河原お仕事柄、デジタルな意見が出てくるのかと思いきや、非常にフィジカルでプリミティブなアイデアですね(笑)。たしかに、ラジオ体操は面白いかもしれません。

小田嶋「DRINK! 飲もう!」です。自分の体験を振り返ると、渋谷で面白い人とつながるのは、だいたい飲み屋さんなんですよね。ふらりと入った飲み屋で隣の人と話して仲良くなったり、クラブで隣にいた人と盛り上がって、そこからつながったこともある。

藤田たしかに、(小田嶋)アレックスさんとは、お酒を飲んでいる場でしか会ったことがないですね(笑)。

河原ふらっと入って、隣の人と自然に話せるような雰囲気のお店は、渋谷にいっぱいありますしね。

2023年から「#シブラバ」の“顔”としてトークを盛り上げてきた藤田さん(左)と河原さん(右)

情報があふれる現代こそ、手触りを感じられる場所を

河原次のお題です。「変化する渋谷で、これからも残したいこと」。皆さんは何を思い浮かべますか?

則武「手を動かして作る、実験する」です。デジタルの時代、AIの時代といわれていますが、何かを生み出すときに、実際に手を動かすという行為はなくしてはいけないと思っています。

河原それは、いま失われつつあるものなんですか?

パナソニックのインキュベーション施設「100BANCH」でオーガナイザーを務め、これまで400以上の新規プロジェクトを支援してきた則武さん

則武ハンズ(旧東急ハンズ)がなくなるというニュースは、本当にショックでした。100BANCHで実験をするなかでも、ハンズに材料を買いに行く人が多かったんです。正直、これをどう乗り越えるかは、まだ見当がついていないんですが……。

河原実験できる環境そのものが、変わってきているということですね。

則武そうですね。実験がやりやすいのって、実はカオスな環境なんですよ。ピカピカに整いすぎてしまうと、「ダーティープロト」みたいなものを置くのにも躊躇してしまう。ぱっと「トライしてみよう」と思える、余白のような環境は少なくなっていますね。

海外スタートアップの日本進出や、日本企業のグローバル展開を支援する小田嶋さん(左)

小田嶋僕は、無料のスペースをもっと残してほしいですね。僕が中高生だった頃は、お金を払わなくても、いくらでもいられる場所があったんです。でも最近は、お金を払わないと入れない空間ばかりになっている。

河原たしかに、それはありますね。

小田嶋お金がなくても、そこにいられる場所を意図的に増やしていかないと。面白いやつって、最初はお金を持ってないんですよ。発掘される前の面白い人たちの居場所が、なくなっちゃう気がします。

藤田そういう場所があるからこそ、そこからまた新しいものが生まれていく、ということですよね。

小田嶋そう。ベルリンのホルツマルクトという場所があるんですが、そこではアーティストたちが無料で過ごして、好き勝手に活動しているんですよね。渋谷にも、そんな感じの場所があるといいのになって。

河原そうやって、何かを「ゼロ・イチ」でつくる人たちが最初に集まると、そこからどんどん波及して、街全体が盛り上がっていくループが生まれます。いまの渋谷にとって、そういったDNAを取り戻すには、ちょうどいい時期なのかもしれないですね。

坂口私は「ハイもローも」と考えました。渋谷の街って、たとえば音楽は最先端だけれど、路地裏に入るとレコードショップがあったりする。ハイレゾリューションとローレゾリューションが共存している街、ともいえると思います。

いまは街頭のメディアもどんどんハイレゾリューションになってきていますが、僕らはピクセルアートを通じて、どちらかというと解像度を下げていくような展開を考えたりもしています。

街に情報が多くなりすぎているからこそ、逆に情報をそぎ落とし、手触りを感じられる場所がもっと出てくるといいなと思います。

河原ハイの方に寄りすぎると、ハイの人しか来なくなって、街のジャンルそのものが変わってしまう。いまは、ハイとローのバランスが崩れつつあるのでしょうか。

坂口そうですね。かなりハイに寄っていると思います。アートでいうと、画廊なども減っていますし。デジタルはどこにでも持ち運べるので便利ですが、その場に残る感じがなかったり、消費されてしまったりする感覚もある。ハイとローの両方が共存している方が、やはり体験の幅は広がるのではないかと思いますね。

渋谷ヒカリエ8/COURTで開かれたトークイベントには約30人が参加。三者三様に語られる渋谷への思いに、参加者は熱心に耳を傾けた

渋谷のアイデンティティを取り戻したい

河原続いて、「これからの渋谷で生み出したい表現と変革」について、お聞きしたいと思います。アレックスさん、いきましょうか。

小田嶋「和」ですね。いま、渋谷がどこの国だかよく分からなくなってきている感じがするんですよ。ニューヨークのタイムズスクエアのように、観光客のためだけに存在する場所になりつつある気がする。でも、円山町とか百軒店とか、日本にしかない風景もまだまだ残っている。そういう「和」を、これ以上消さないでほしいというのが一つあります。

小田嶋あとは「和を以て貴しとなす」じゃないですけど、みんなで一緒に何かをやるというのが、渋谷のすごく大事なアイデンティティだと思っていて。日本的な風景を残すという意味だけじゃなくて、いろんな人が集まって、一緒に何かを生み出していく。そういう「和」も大事なんじゃないかなと思います。

坂口僕は「現代の浮世絵」と書かせていただきました。ピクセルアートは庶民的な感覚から広がった表現で、昔の浮世絵にも通じると思っています。浮世絵は、一人の天才ではなく、絵師や彫り師など、さまざまな人が分業して作品をつくっていましたが、ピクセルアートもアーティストやゲームクリエイター、プログラマーなど、多くの人が関わっています。

また、渋谷はメディアが多く、広告があふれている街ですが、そこにピクセルアートを使って、この場所にしかない風景や作品をつくることができるんじゃないかと思うんです。そこに行かないと見られない表現を増やしていけば、街を歩く楽しさや、その場所ならではの価値も高まっていくと考えています。

則武私は「発症」と書きました。自分が「これが好き」「これをやりたい」と思ったことを、病気のように周りに伝え続けている人たちがいます。そういう、いわば「発症」している人たちが発信し続けることで、周りの人に感染して広がっていく。文化とは、そういうところから始まるんじゃないかなと思うんです。そういうあり方を続けていきたい、という意味を「発症」という言葉に込めました。

河原100BANCHが、まさに「発症」や「感染」が起こりやすい場所なのでしょうね。

則武渋谷には、もともとそういうカルチャーがあったからこそ、いろんな文化の発信地になってきたんじゃないかなと思います。街角で踊っている人やアーティスト、ストリートミュージシャンなど、いろんな人が自由に活動してきた。そういう人たちを、無料で使える場所が支えてきたんじゃないでしょうか。

そう考えると、100BANCHだけじゃなくて、もともと渋谷には、そういう場所がもっとたくさんあったんだろうなと思います。

小田嶋そう、みんな「病原菌」扱いしすぎなんだと思います。そういう菌がいても、別にいいじゃないですか。いろんな菌が生き生きと活動しながら、調和している社会。そんなイメージが持てるといいなと思っています。

河原多様性を生み出すためには、みんなが「抗体」を持つことも大事なんじゃないでしょうか。だから、まずは一度かかってみる。そうすると、「こういうのもありなんだ」という抗体がその人の中に生まれる。それが積み重なっていくことで、地域全体に多様性が生まれていくんじゃないかと思います。

「渋谷よ、目を覚ませ」。もっと面白い街へ

河原ありがとうございます。最後に皆さんから一言ずついただきたいと思います。「渋谷を一人の人間にたとえるとしたら、どんな一言をかけたいか」というイメージで、それぞれの活動や領域からメッセージをいただければと思います。

坂口渋谷って、チャレンジャーが多い街なんですよね。僕も2017年に渋谷ピクセルアートを始めるとき、商店街の会長さんに挨拶に行ったら、「どんどんやってくれ」と言っていただいたことがすごく印象に残っています。

同時に、「続けてやった方がいい」とも言われて、それから約10年続けてきました。渋谷は、何かをやりたいと思った人が実際に動き出せる街なんだと思います。これからもチャレンジャーが集まり、面白いことが生まれていく街であってほしいですし、僕自身もそういう人たちと一緒に活動していきたいと思います。

則武私は、何かが生まれ続けることが「日常」である街であり続けてほしいと思っています。一過性の熱量の高いイベントではなく、息をするように何かを生み出したり、実験したりする。そんな空気がいつもある渋谷でいてほしいですね。

そして、実験する人たちが排除されない街であってほしいと思います。挑戦する人がいて、それを応援する人がいる。それだけで世の中は良くなると思っているので、そんな街でいてほしいですね。

小田嶋コロナ前と後、そして再開発もあって、渋谷は本当に変わったなと感じています。街がきれいになって、オフィス街としてはすごく魅力的になった。でもその一方で、昔の渋谷にあった、ちょっと変なことをやっていても自然に街になじんでいた感じや、裏路地のよく分からない雰囲気が、だんだん薄れている気がするんですよね。

ここで仕事をしたいと思う人が増えたのは素晴らしいことです。でも、それだけになってしまったら、「そもそも、みんなが渋谷に来たかった理由って、それだったっけ?」となると思う。

渋谷には、交通の便利さとは別に、カルチャーとして人を引きつける力があったはず。その心拍数が、少しずつ下がっているように感じます。

だから、渋谷さんには「目を覚ませ」と言いたいですね。「お前、そんな優等生じゃなかっただろ。もっと羽目を外していいんだよ」と(笑)。

藤田今回は、2017年から渋谷で活動されてきた皆さんから、それぞれの渋谷への思いをうかがうことができました。最後は「渋谷、目を覚ませ」という、とてもメッセージ性のある言葉も飛び出しましたね。

河原ありがとうございます。私たちも、この渋谷という街をもっと面白くしていくために、いろいろな渋谷の側面を引き出していくことを改めて意識しながら、これからも活動していきたいと思います。

登壇者と参加者全員で最後に記念撮影!

登壇者を知り、つながるきっかけに「#シブラバカード」が初登場!

今回のイベントでは、登壇者3人を紹介するトレーディングカード風の「#シブラバカード」が初登場しました。7月に行われたワークショップでは、これからの渋谷について、「渋谷を『消費する街』から、みんなが参加して価値を交換し、『関係が残る街』にしていきたい」という意見が出されました。「#シブラバカード」は、そんなアイデアを具体的な形にした取り組みの一つです。カードには、登壇者それぞれのキャッチフレーズや特技、渋谷での活動、愛する渋谷のスポットなどを掲載。イベントをきっかけに登壇者のことをより深く知り、参加者同士の会話や新たなつながりが生まれるためのツールとして制作されました。

河原さんは、「これを機に、渋谷にまつわるいろいろな情報や関係性を交換するような取り組みができたらいい」と、カードに込めた狙いを説明しました。

今後も「#シブラバ倶楽部」の登壇者のカードを順次追加していく予定です。カードはイベント参加者に配布されます。イベントに参加しながら、さまざまな「シブラバ」と出会い、カードを集めてみてください。

――初回イベントを終えて(感想)

イベント終了後、懇親会でMCのお二人にお話を聞きました

「渋谷の良さだけでなく、課題も語れる場に」(河原あずささん)

今日面白かったのは、渋谷の良い部分だけではなく、「今の渋谷ってどうなの?」と、課題についてもはっきり表現したこと。街が過渡期にあり、舵取りが難しい状況にあるのでしょう。

たとえば、昔はセンター街に遊びに行くとなると、どこか独特の敷居の高さがあったように思います。

でも今は、街がずいぶん整って、以前よりも気軽に遊びに来られる場所になりましたよね。もちろん、清潔で安心して過ごせる環境は大切です。一方で、知らないモノや人に出会ったときの「ドキドキするような感覚」も、街の魅力として意外と大事なのかもしれません。

次回は、街づくりや子育てなど、生活者寄りの視点から渋谷を語りたいと考えています。

「これからの渋谷を、“居場所”という視点から考えたい」(藤田祐司さん)

渋谷に新しいビルがどんどん建ち、街の変化が進むなかで、「次どうするの?」と、これからの渋谷を考えるには良いタイミングだと思います。今日は、皆さんから渋谷のアイデンティティについて、たくさんの意見が出てきたことが良かったですね。

だらだらと過ごせる隙間のような場所が日本から減っているなかで、渋谷はどういう街であるべきか。今後は「居場所としての渋谷」という視点から、みんなにとって心地よい場所であるために、どうなっていくべきかを掘り下げたいと考えています。

次回の「#シブラバ倶楽部」開催について information

次回の「#シブラバ倶楽部」開催について

#シブラバ倶楽部 Vol.2
〜渋谷の「居場所」は、誰がつくるのか?〜暮らす・働く・場を育てる3人と考える、渋谷の街のこれから

日時/2026年10月22日(木)19:00〜22:00(開場18:30予定)
会場/渋谷ヒカリエ 8/COURT
登壇/宮田真知(NPO法人tannely)、久田友彦(株式会社しんか 代表取締役/SLOTH JINNAN運営)、真柴裕哉(渋谷区役所/ササハタハツまちラボ)
料金/無料
定員/50名予定・先着順
主催/東急株式会社
企画・制作/Potage株式会社

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