渋谷ならではのライフスタイルや街の魅力を解き明かす「#シブラバ Vol.2」開催

2023.10.26

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渋谷を愛する「渋谷LOVERS」が渋谷ならではのライフスタイルやこの街が持つ魅力を解き明かすミートアップ「#シブラバ」。2回目の今回も、渋谷で働く・遊ぶ・暮らすキーパーソンが集い、熱く語らいます。

関連情報 information

#シブラバ Vol.2
~渋谷に働く・遊ぶ・暮らすキーパーソンが渋谷愛を語るミートアップ~

日時/9月7日(木)19:00~21:00(開場18:30)
会場/Plug and Play Shibuya powered by 東急不動産
料金/無料
主催/東急株式会社、東急不動産株式会社
企画・制作/Potage株式会社

進行

  • 藤田 祐司

    Peatix 共同創業者/取締役CMO | Co-founder/CMO

    藤田 祐司

  • 河原 あずさ

    Potage代表取締役/コミュニティ・アクセラレーター

    河原 あずさ

出演

  • 千原 徹也

    アートディレクター/株式会社れもんらいふ代表

    千原 徹也

    1975年京都府生まれ。広告(H&Mや、日清カップヌードル×ラフォーレ原宿他)企業ブランディング(ウンナナクール他)、CDジャケット(桑田佳祐 「がらくた」や、吉澤嘉代子他)ドラマ制作、CM制作など、さまざまなジャンルのデザインを手掛ける。プロデューサーとして「勝手にサザンDAY」主催、東京応援ロゴ「KISS,TOKYO」発起人、富士吉田市の活性化コミュニティ「喫茶檸檬」運営など、活動は多岐に渡る。 そして、ついに長年の夢だった映画監督としての作品「アイスクリームフィーバー」が2023年7月に公開。

    事前インタビュー
  • 神田 沙織

    株式会社wip取締役/子連れ100人ヒロバ実行委員長

    神田 沙織

    大分県佐伯市出身。3Dプリントサービス運営を経て株式会社wipを設立し、取締役に就任。2015年、独創的なICT(情報通信分野)への挑戦者を応援する総務省「異能vation」プロジェクトに採択され研究にも取り組む。2017年より拡張家族として共に暮らし、協同組合として共に働くCiftメンバー。多拠点生活、コミュニティ子育てを実践。 平本沙織として子育て応援車両などのソーシャルアクションの実績がある。 20代を代々木上原と奥渋で過ごし、複数の渋谷のクリエイティブコミュニティに関わってきたシブヤラバー。

    事前インタビュー
  • 植野 真由子

    子ども体験コーディネーター

    植野 真由子

    子どもたちの真剣な眼差しや自信に満ちた笑顔のために、ちょっと背伸びした体験を届ける活動を展開。渋谷区の小学生が地域の課題を見つけて本気で解決策を考え提案する「Social Kids Action Project」、自分たちの住む街をもっともっと好きになるワークショップ「広告をつくろう」や「よみがえれ」などを主催。代々木中学校シブヤ未来科ファシリテーターとして、渋谷の街を舞台としたアクティブ・ラーニングのファシリテーションなども行う。本業は、4児の母。

    事前インタビュー
  • 髙橋 ケンジ

    恵比寿新聞 編集長

    髙橋 ケンジ

    恵比寿駅から半径2km以内の取材にこだわるローカルメディア「恵比寿新聞」を2009年に立ち上げて編集長を務める。さらに各地のローカルな情報を地域住民が自ら発信するメディア「地域密着新聞ネットワーク」の代表なども務めるほか、恵比寿ガーデンプレイスに知識を共有するパブリックスペース「COMMON EBISU」や未来型図書館「感想文庫」をプロデュースするなど、地域に根ざした幅広い活動を展開。現在嫌いな納豆の克服に人生を捧げている。2016年より、渋谷区初の「地域子育てコーディネーター」としてから渋谷区非常勤職員として従事。

    事前インタビュー

「#シブラバ」の開催について

東急および東急不動産は、2021年に「Greater SHIBUYA 2.0」という事業戦略を策定し、渋谷でしか体験できない形で「働く・遊ぶ・暮らす」の3つを実現するという渋谷型都市ライフを提案しました。「働く」「遊ぶ」に比べて、「渋谷で暮らす」はイメージを持ちづらいワードかもしれません。そこで、実際に渋谷で「働く・遊ぶ・暮らす」を実践する渋谷LOVERSの皆さんをお呼びして、お話を聞く機会を設けたいと考え、「#シブラバ」の開催に至りました。

「Greater SHIBUYA 2.0」について

渋谷LOVERSが語る「私の渋谷愛」

自分のイメージする「東京」は、渋谷に全て詰まっている

河原今回も渋谷に住み・遊び・働くという、三拍子そろったゲストの方々をお招きしました。まずは「私の渋谷愛、一言で表現すると?」をテーマに語り合いましょう。

植野「生活のすべて」ですね。仕事も生活も渋谷の中で完結しており、ほとんど外に出ないので。旅行から家に帰ると、「やっぱり渋谷はいいな」とホッとします。

河原それほど居心地が良い理由は何なのでしょうか。

植野大きな公園など子どもと一緒に行ける場所が豊富ですし、街を歩いてウィンドウを見ているだけで刺激があるし、病院などの施設も整っていて、別の場所に移る理由が全く思いつかないんですよね。本当に住みやすい街です。

渋谷区の子どもの探究心や創造性の育ちを支える多様な活動を展開する植野真由子さん。

神田私は「東京=シブヤ」です。自分がイメージする東京は、渋谷に全て詰まっていると思うので。故郷の大分県から初めて東京に訪れたのも、代々木体育館でのコンサートでした。渋谷駅を降りてスクランブル交差点を過ぎ、渋谷PARCOをのぞいて、公園通りを歩いて代々木公園にいたるという一連の流れに、まさに東京の全てが詰まっていました。

藤田今は渋谷と飛騨高山との二拠点生活を送っていますよね。飛騨高山に住んでから、渋谷の見方は変化しましたか?

神田渋谷のありがたみをとても感じるようになりました。カルチャーやビジネスを含めてクリエイティブが集まっていますし、誰かとアポを取るときも「渋谷に来てほしい」と伝えると、快くOKをもらえます。新しくできた話題のビルでイベントが開催されることも多く、街を使って遊べるという感覚がありますね。ただ、飛騨高山からは急いでも5時間はかかるので、正直行き来は大変です。所要時間だけなら、沖縄県の竹富島のほうが早いくらい(笑)。

「子連れ100人ヒロバ」などコミュニティによる子育ての実験的な活動に取り組む神田沙織さん。

音楽が人を吸引してカルチャーが生み出されていた

河原千原さんはどうでしょう。

千原「今も渋谷系」としました。京都出身の私は、学生時代、夜行バスに乗って渋谷によく遊びに来ました。ヘッドフォンでオザケンさんの曲なんかを聞きながら。私は宇多田ヒカルさんやaikoさんがデビューした1998年を機に渋谷系ムーブメントは終えんしたと思っていますが、今も自分の心の中には渋谷系が息づいています。はじめて監督を手がけた映画『アイスクリームフィーバー』も渋谷が舞台で、エンディングテーマはオザケンさんにお願いしました。そんなふうに一人で一生懸命、渋谷系をやり続けています(笑)。

藤田今の渋谷カルチャーをどう見ていますか。

千原右を向けば高層ビル、左を向けば情緒のある街角、小道を歩けばセレクトショップといったように、ごちゃ混ぜにした感覚の光景を見ると、90年代のサンプリング文化は変わらず残っているのかな、と。そういう遊びのあるカルチャーはいかにも渋谷らしいのですが、90年代ミュージックのリバイバルがなかなか起こらないのは、当時、サンプリングをし過ぎて著作権の問題があるのだろうと考えています。今はそういう問題に厳しいですからね。それでも渋谷は寛容さを保って、新しい文化を生み出し続けてほしいですね。

デザイナーとして多方面で活躍し、2023年には自身初の映画作品「アイスクリームフィーバー」を公開した千原徹也さん。

河原寛容さや多様性は、渋谷のDNAという気がしますよね。最後に、髙橋さん、お願いします。

髙橋一言で表すと、「レコード(レコードのイラスト)」かなと。これほど集中的にレコード屋が存在する都市は、世界的に見ても渋谷だけなんですよね。若い頃はクラブに通って、DJブースで「この曲何ですか?」「これ今、CISCOに売っているよ」なんてやり取りをよくしていました。今考えると不便ですが、当時はネットがなかったから、情報は口づてでしか手に入らなかったんです。

千原クラブやレコード屋がコミュニティだったんですよね。そこで音楽やファッションなどのカルチャーを感じることができました。

髙橋そう。あれこそカルチャーだったのだと、後になって気づきました。渋谷にある音楽はたくさんの人を集めるマグネットだったんだなあと。90年代ほどではないけど、現在も渋谷にはレコード屋が多く、海外の観光客も集まってきます。今は誰でもどこでも音源データを入手できますが、実際に手に取って買うとなると、レコード屋に行くしかない。今も変わらずレコードは、渋谷の街に足を運んでもらうきっかけになっていると思います。

「恵比寿新聞」編集長を務めるなど恵比寿を拠点に多彩なメディア活動を続ける髙橋ケンジさん。渋谷愛を「レコード」のイラストで描く。

渋谷LOVERSがイチオシの「渋谷の住まい方」とは

渋谷は同調圧力が弱いから、いつでも自分らしくいられる

河原ありがとうございました。では次のお題の「私のイチオシ『渋谷の住まい方』」に移りましょう。

神田「SHARE(シェア)」としました。私は渋谷キャストの住居スペースを渋谷の生活拠点としていますが、ここではコミュニティメンバーが共同で子育てをしたり、リビングなどのスペースを共有したり、生活そのものをシェアしながら暮らしています。そうやって皆が自分らしさを持ち寄って新しいものを作っていくことに渋谷っぽさがあるな、と感じますね。渋谷区が掲げる「ちがいを ちからに 変える街」というビジョンの通り、多様性を大事にする街だからこそ、皆が自分らしさを出せて、それが生きやすさにつながっていると思います。

河原自分が大切にしていることに共感してもらえるのは、すごくいいですよね。続いて植野さん、いかがでしょうか。

植野私も「自分らしく」としました。渋谷の子どもとワークショップを行っており、時々、「渋谷の子どもって、マセていたりするの?」などと聞かれますが、いたって「普通」だと感じます。ただ、渋谷にいる人に特徴があるとすると、「こうするべきだ」といった固定観念は弱いかもしれません。例えば子育てをしていても、「習い事はこれをするべき」「保育園はここに通ったほうがいい」「服装はこうじゃないと」といった同調圧力が弱い気がして、いつでも自分らしくいられます。皆が認め合って自由に生きられるのが、渋谷での生活だと思います。また、渋谷の街は変わり続けているので、子どもが新しいことにトライしやすいんですよね。「こんなことをやってみませんか」と声を上げやすいですし、それに伴走してくれる大人も多く、「とりあえず、やってみよう」という気持ちになれます。

藤田多様な価値観を許容するキャパシティがあるのでしょうね。

植野そうですね。渋谷に住む人は「自分はこれがやりたい」といったイメージを持っており、それを言葉で表しても受け入れてもらえる文化があると感じます。

河原逆説的ですが、街が変わり続けるからこそ、人が変わる必要がないのかもしれませんね。だから自分らしさを持ち続けられるのかもしれないと思いました。

子どもが原体験を持てるように、コミュニティをデザインしたい

髙橋私のオススメの住まい方は、「飲む(ビールのイラスト)」です。ここ20年、渋谷や恵比寿を見ていますが、つねづね、酒場から生まれるエネルギーはものすごいなと感動していて。酒場がコミュニティとなって、新しいものがどんどん生まれているんですよ。伴侶となる人に出会えることもあれば、仕事につながることも少なくありません。お酒を飲まない人でも酒場にいると、いろんなコミュニティにつながることができます。

藤田たしかに最近は、ノンアルの人もお酒の場での出会いの機会は増えている気がしますね。

髙橋そう思います。もう一つ、お酒に関しては、私の拠点である恵比寿にはサッポロビールさんがあって「ビールの街」ですから、世界中の人がビールを飲みに訪れる街にしたいとも思っています。

酒場を通じたコミュニティの面白さを「ビール」のイラストで表現する高橋さん。

千原私にとっての渋谷の住まい方は、「子どもたちとデザインしていく」です。渋谷は便利ですし、面白い人にもたくさん出会えます。そのように何でもあるからこそ、逆に「どうすればハングリーさを持てるのか」と、子どもたちを見て少し心配になることがあります。私は京都にいたからこそ、「渋谷で買いものをしたい」「東京で一旗上げたい」と思えたので。今度、原宿の商業施設「ハラカド」に事務所を移転するのですが、その地下に銭湯ができるそうです。うちの子が放課後に立ち寄り、事務所で宿題をして銭湯に入って家でご飯を食べるなんて経験をさせてあげたいなと思っています。すごく都会的ですが、原体験としては田舎と変わらない。そういうコミュニティを子どもと一緒にデザインしていきたいという思いを持っています。

「田舎と変わらないコミュニティを子どもと」という千原さん。

植野渋谷で生まれ育つと、意外と渋谷のことを知らないんですよね。中学校で授業をしていると、スクランブル交差点や忠犬ハチ公像に行ったことがないという子が多くて驚きます。

神田生活圏が成長によって変わるからかもしれませんね。大人になるにつれて、いろいろな場所を掘っていけることは渋谷の面白さの一つといえそうです。

河原これからの子育てでは、どの地域においても、いかにローカルな体験をさせるかが大切な気がします。その点、渋谷は圧倒的に情報量が多いので、どのようにキュレーションをするかは難しいところでしょう。無限にあるバリエーションから、どうパッチワークをして提供するかといった感覚が、渋谷の子育てでは問われているのかもしれません。

千原そうですね。私自身も学びながら、どう渋谷をデザインするかを考えていきたいです。

MCを務めた藤田裕司さん(左)と河原あずささん(右)

河原さまざまな境界線が混ざり合うような感覚の都市型のスタイルをさらに育てていきたいと思いました。そのために私たちに何ができるのかを改めて考えさせられるトークになったと思います。

藤田皆さんの渋谷愛がひしひしと伝わってきて、私自身も改めて渋谷に向き合っていきたいと思えました。本日はどうもありがとうございました。

会場にお越しいただいた皆さんとハートマークで記念撮影

今回のトークイベントをグラレコでまとめてみました!

トークの内容をイラストやキーワードで可視化し、記録する「グラフィックレコーディング(略して、グラレコ)」。今回のイベントは、グラフィックレコーダーの守隨佑果(しゅずい・ゆか)さんにまとめていただきました。素敵なグラレコを作成いただき、ありがとうございます‼

タブレットでサクサクとグラレコを描いていく守隨さん

<守隨さんのコメント>
本当に盛りだくさんのお話をありがとうございました。渋谷の街には、「変わるもの」と「変わらないもの」があって、それが対極に位置するのではなく、お互いに溶け合っているようなところがあると、皆さんのお話から感じられました。さらに、働く・遊ぶ・暮らすが混じり合っていることが伝わってきました。とても素晴らしい暮らしですよね。

公式サイト

トークイベントを終えてーゲストの感想

神田今日、飛騨高山から高低差600メートルの渋谷を訪れて改めて気づいたのは、私の人生の要所には渋谷の街やここで出会った人が必ず登場することです。思い返せば、夫との出会いも初デートも渋谷でしたし、まさに渋谷に人生をドライブされている気がします。そんな生活が今後も続くのかと思うと、とても楽しい気持ちになれた夜でした。

千原あと2本くらいは、渋谷を舞台とした映画を撮りたいと思っており、すでにプロットを書き始めています。今後とも渋谷と千原徹也をよろしくお願いします!

植野渋谷は皆に愛されている街だと感じました。そういう街に住んでいるんだよと、子どもたちに伝えたい気持ちです。渋谷の街が大好きな子どもを育てるので、ぜひ千原さんの映画にも出演させてくださいね(笑)。

髙橋お酒を飲む場所にカルチャーが生まれるのだと改めて感じました。「三人寄れば文殊の知恵」といいますが、こうやって渋谷を愛する人が集まると、すごいエネルギーが生まれることがとても面白く、感動しました。

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